2002年 10/27 池部楽器リボレ秋葉原店
「パイステ2002サウンド研究会」 BY こばK様 

こばK様からいただいたレポートです!(ありがとうございます)

会場は、イケベ楽器の練習スタジオの一角にある小さなイベント会場のような
ところでキャパは20〜30席くらいでした。
事前に、アンケート用紙が配られ、湊氏に質問、パイステについて質問という形を
とられ、デモ演奏後、質問コーナーがメインで進められました。 


時間:
16:10〜18:20くらい。

セット内容:
ラディック「'70s Psychedelic」
ヘッド:表/ラディック・シルバー・ドット 裏/エバンスの半透明のやつ(詳細不明)
タムのヘッド:全てエバンスのコーテッドでした。
ワンタム、ツーフロア。16、18、ですよね。
シンバル:18ミディアム、20ミディアム、24ライド、サウンドエッジ15ハイハット
フットペダル:DW5000のベルト式(てっきりチェーン式と予想していました) 
触ってみましたが、スプリングはそれほどキツい感じではなく、ナチュラルな感じです。
(すみません、あくまで主観です)

その他:
ハイハットには、BONZOと同じくミニタンバリンのようなやつを付けてありました。
セミナー終了後、湊氏専属スタッフの方に聞いたお話ではチャイナはNOVOを
使うこともあるとのことでした。※22インチとのことでしたが、製品は20インチまでです。
(特別仕様?不明です)
レコーディングにて、トップマイクでシンバルを拾う際に、
クラッシュだけでは少し寂しい、という要望があった場合にチャイナをセットすることがある、
とのことです。ライブは結構お酒を飲みながら演奏することが多いようですね。
レコーディングでも飲む場合があるようです。その後、車を運転して帰るので心配、、、とか。 

メニュー:

1.コージー村上さん(司会)とモリダイラ楽器担当者によるパイステ2002の歴史と製作工程
  などについてのお話
。いかにして手作りの職人が作っているか、とか。
  この辺は、ドラムマガジンに載っていた内容とカブります。
 
パイステへの質問

(1)耐久性について(私の質問でした※ちょっと無理があると思いましたが念のために)
  叩き方や演奏時間によって当然変わりますが、、、、言えるのは変な鳴らし方をしたら
  やはりシンバルには良くない。いろんなアーティストがいるけど、キレイにシンバルを
  鳴らしきっていればあまり割ってしまうということは無いような気がします。
  ちなみに、保証は効きませんのでよろしくお願いします(笑)

(2)黒ロゴは、2002全モデルあるのですか?
  当時黒ロゴで発売されたもののみです。後に追加(赤シリーズ)で出たものについては
  黒ロゴではないです。年内ですと、1枚から黒ロゴでオーダー可能です。

  ※なんと黒ロゴ(ハンコ)は、当時使われたハンコをそのまま再度使用されるということ
   で証明書が付いているようです。すごいこだわりですね。
   それと、イケベ楽器さんでは、BONZO限定セットを予約するとBONZOのパイステの
   ポスターも付くそうです。うれしいですね。

(3)パイステシンバルの特徴について(モリダイラ楽器の方とコージー村上さん)
  パイステはとにかく音色が他のメーカーに比べて高いです。
  それは、インチが大きくなっても同様です。だから、20のライドも24のライドもクラッシュと
  として使ってもいいんです。この後の湊さんの演奏でもそれが聴けると思います。
  クラスとしては、2002は、ジルジャンでいうところのKジルジャン、その他はハンドハンマリング
  しているクラスと同等です。ジャズ・プレイヤーで2002を使っている人もいます。
  ドラムをシンバルを含め全体的なひとつのサウンドとして鳴らしたい人はジルジャンを使い、
  タム、スネア、バス、シンバル、と、ひとつひとつハッキリ鳴らしたい人はパイステを選択される
  傾向があります。

その他
  コージー村上さんのお話
  今回、発売するBONZOセットは湊氏にアドバイスをいただきました。
  BONZOは、16のクラッシュも使っていましたが、湊氏の定説によると、18のミディアム
  と20ミディアムだ!ということで決定しました。コージー村上さんが参加されたピュアロックのライブ
  (チッタ川崎にて)で20のミディアムを鳴らすと、マイク無しでホールの後ろまで音が通り、他の出演者に
  「どんなシンバルを使っているんだ!?」と驚かれたそうです。

  ジルジャンについて(備考)
  アメリカのジルジャンの工場を見学に行ったのですが、そこであるシンバルに対し、2枚のマスターシンバル
  が置いてあり、この2枚の音の範囲にあれば検査に合格ということで、2枚を叩いてみると、、、、、
  かなりの音の差があったそうです。逆に言うと、これは悪いことではなく、同じタイプのシンバルでも
  同時に使った際、いろいろな使い方ができる、ということにもなります。(フォロー?)

  一方、パイステにもやはり、マスターシンバルがあり、出荷検査をする人がいるそうですが、この人は
  一日3時間しか仕事をしないそうです。何故かというと、やはり金属音を連続で聴いてると、正しい判断
  ができる時間が限られてしまうようです。そして、その基準は厳しく、NGのものはその場でカットされる
  そうです。コージー村上さんが、かつて3枚同じパイステのシンバルを買ったら、2枚はほぼ同じ音だった
  そうです。(、、、1枚は違うのですねぇ)

  ※
  コージー村上さんは楽器店の店員さんという立場から、他のシンバルをどうこうは言いたくありませんが、、、
  と言われつつ、かなりのパイステびいきだと感じました(笑)


2.湊氏登場。レッドジッポリンのGとBの方とZEPのナンバーを演奏=>ドラムソロへ。

  ソロの導入部はモビーディック。(手では叩きませんでした)
  ボンゾ状態の湊氏。呆然と聴き入る私。、、、
  セットリストはSAFARIさんのBBSに掲載されていました。


3.コージー村上さん登場。湊氏へ質問開始。
(覚えているものだけですが、、、)

(1)ハイハットのトップとボトムの間隔について
  「間隔が大きい、小さい、の差は歴然。(実際に高さを変えて踏んでみせる)
   間隔が大きい方が、(チャ!)と鳴りがいいよね。そういうこと。歯切れもいいし、
   音のバリエーションも広がる。」

(2)チューニングについて
  「あくまで、均等に張る。ボトムが少し張り強い。これは本で読んでも、口で言ってもわからない。
  あとで実際に触って自分で確かめてよ。、、、」
  専属スタッフの方によると、チューニングは、スティックではなく、マレットや手で叩いた
  時によく鳴るような感じのセッティングとのこと。スティックは硬いので倍音が出てしまい、
  よくわからない、というのが理由だそうです。(要は一番鳴りがいい状態?)

(3)何でいつもそんなにパワフルなんですか?
  「ほとんど寝ている(笑)ほんとうに、演奏してる時以外はヘロヘロになってる。
   自分には、これ(ドラム)しかない。ただ、演奏している時はスイッチが入るように
   なっている。風邪ひいていても咳きも出ない。トイレにも行きたくならない。(マジで)」
   ※一部放送禁止用語あり

(4)バスドラの踏み方について(これは、別の人の質問でしたが、私も同じようなことを書きました)
  「じゃ、実際に見て。こっちに来て。」(ということで、私もセットの真横に行き見学)
  ペダルのほぼ真ん中くらいから連打する場合は、気持ち上にスライドするような
  感じでした。(アップヒール)
  「思いっきりこれから踏み込むぞ!という感じではなく、あくまで自然にドン!と鳴らす感じだよ」(湊氏)
  「自分は連打する時、どーしてもビーターをヘッドに付けてしまうのですが??」(私)
  「俺も昔はそーだったよ。いつからだっけな。こーなったのは。、、、12〜3年前から
   意識的に押し付けないようにしているんだ。」(湊氏)
  「自然にドン!とヒットしてビーターを離した方が鳴りはいいですよね」(私)
  「表のヘッドに穴を開けなきゃいいんだよ。そうすれば、ドン!と、イヤでもビーターが返ってくるよ。
   タムと同じだよ!こーして(タムをドンドンと叩く)跳ね返ってくるでしょ。タムは。」(湊氏)
  「なるほど!」(目からウロコの私、、、感動〜)

  「タイコは、全部、叩く瞬間だよ!フリの大きさじゃない。もちろん、かっこつけでこーやって(大きくふりかぶる)
   叩く人もいるけど、ここの(ドラムを指して)気持ちになって考えれば、叩く瞬間のスピードだよね!
   前フリは関係ない。ここから叩いても(大きくふりかぶって叩く)こーやっても(打面から10cmくらいのところか   
 らスナップを利かせて叩く)音は同じでしょ!?」=>同じでした。
  「要は一瞬のスピードが重要なんだよ!」(湊氏)
  再び目からウロコの私。

  ※確かに、高校生時代の湊氏はかなりアクションも大きめでシンバルも常に揺れまくっていたと記憶して
    います。今日の湊氏のプレイを見ると、シンバルはさほど揺れていなくても、完全に鳴らしきっている
    し、アクションもスナップが効きまくっていて、すごく自然な感じでパワフルという印象を強めました。
    =>BONZOスタイルの確立でしょうか。

(5)演奏するホールに合わせてチューニングは変えますか?
  「特に変えない。レコーディングもそうだけど、いつもだいたい同じ。自分はこーいうサウンドで
   これが欲しければ呼んでください、って感じ。呼んでもらえばいつでも同じようにパワフルに
   やります(笑)」

(6)ZEPで聴いて気持ちの良い曲と、演奏して気持ちの良い曲を教えてください。
  「ZEPは、、、聴いて気持ち良いのは全部。(笑)狂ってるからね。もう。それで勘弁して。
  演奏して良いのは、、、、難しいけどカシミールだね。あれは、本当にすごい。自分で演奏しても
  何か違うんだよね。きっとあと何年も何十年も練習しないとできないと思う。」
  ※うおー!カシミールは私もすごくシンプルだけど、表現できんー!と思っていたので激しく同意でした。

(7)シンバルのセットの仕方について
  「これは、ゆるゆるにしてある。本当は、何も押さえが無いのがベストなんだよ。
  入射角(スティックの)に自然に反応して、揺れるのがいいんだ。だから、みんなこうして
  いろんな角度で揺れるようにしてるでしょ。(シンバルを手で揺らす)美しいねー(笑)
  とにかく、自然に鳴らしきるのがいい。」

  コージー村上さんより補足
  「実は今日のリハーサルで一度スタンドを倒してしまったんです。このスタンド結構、揺れますよね。
  でも、このスタンドが揺れるのもまた、シンバルを自然に揺らす(鳴らす)ことにつながるんですよね。」
  (湊氏うなずく)

  ※実際にシンバルスタンドはかなり細いもので、ガムテープで足の一箇所を止めてるだけでした。
   湊氏のハードなプレイからすると、かなり頼り無い感じ。、、、でした。

(8)CDは何枚もってますか?
  「500枚くらい。(笑)少ない?いいんだよ別に!(笑)友達のホッピー神山は何万枚?とか持ってるよ。
   音楽王だよね、彼は。、、、普通1000枚くらい持ってる? いいんだよ、別に(笑)
   そのうちZEPは150枚くらいかな?」
  氏いわく、狭いけど徹底して聞く、とのことでした。
  ※私から言わせていただくと、プレイの幅はむちゃくちゃ広いですやん!!と感嘆&突っ込み。

(9)ドラムを叩く時に、どこに基準を置いて叩きますか?(ハイハットを踏む左足とか)
  「(あー、それね、といった感じで)昔は、ハイハットを踏む左足とかでリズムをとっていたこともあるよ。
   だけど、そーすると演奏に合わなくなってしまうんだよ。だって常にちっちっちっ、って踏んでいると
   体も「たん、たん、たん、」ってなるでしょ。(ぴょんぴょん跳ねる)確かにそういう叩き方をする人もいるけど、
   全部そういう演奏になっちゃうよね。だから、どこかでリズムを取る、ということはしていない。
   今は全部頭の中にある。念みたいなものだよ。BONZOを聴いてからそう。」

(10)昔はリトル・ペイス(イアン・ペイス)という印象が強かったのですが、いつからBONZOスタイルに?
   「昔って、この質問は?あ、あいつか!いいんだよ!あいつは(笑)」
   と冷たく(笑)飛ばされてしましました。(よく知ってる人かも?)

(11)初めて会った人とプレイする場合は、どうやってあわせますか?(リズムとかグルーブのことだと思います)
   合わせようとした時点で遅いんだよ。あくまで自分のリズムでやるしかない。それで気持ちが悪い場合も
   あるけど、その場合は、ほっとく(笑)。10人でも100人でも同じ。あったからって、特にそれだけだから。
   これは、ミーティングしても始まらないし。、、、   

(12)今度、発表会でドラムソロをやらされるのですが、アドバイスをお願いします。
   「あー、実は俺もソロは苦手。よくあるでしょ、JAZZとかで、、、当然のようにドラムソロがまわってくるの。
    あれ、やだねー(笑)とりあえず、何かフレーズを歌うようにしたら。トテチトシャン、とか。何でもいいんだよ。
    自分の歌を。俺の場合もフレーズを歌いながらやってるよ。」

(13)自身のベストプレイは?
   「うーん、難しいな。、、、今のだよね!?拍手はいらないけど(笑)」
   質問者のベストは「94年のRCサクセションの日比谷野音でのライブ」
   =>「あー、そうそう、あれはこのセット(ラディック)にして、一発目のライブだったんだよ」(湊氏)
   コージー村上さんによる湊氏ベストプレイは、ジギーのズー&ルームの5曲目。
   (追加質問)でお気に入り最近お気に入りのCDは?
   昨日買ったZEPのブートで73年7月29日のSBD。

(14)普段、練習はしますか?
「今は全然しない。ドラムを始めた時、1年間は狂ったけどね。でもその時に、やっぱり
 できないわけ。で、一生懸命マネをするんだけど、その中に基礎的なものが入っていた
 んだよね。フラムとか。後からそういう一般的なルーディメントというか「テクニック」
 というのを知るんだけど。
 今は全然練習しないけど、いい音楽を聴くことが練習になるよ。イメージすることだよね。
 これ結構大切だよ。」
「音楽を聴く時は、何かをしながらは聴かない。歩きながらとか、ダメ(笑)。集中して音楽だけを聴く。
 気持ちが入るまで。格闘だよね。でもそれが好きだからやってる。」とのこと。すごい。

(15)パイステの好きなシリーズ、好きなサイズは。
2002。2002で固まったのは5年前。
ライド24、ミディアム18&20がボンゾのベーシック。

(16)スティックをプロマークにした理由。
プロマークはあまり関係ないんだよね。(笑)人の縁があって使ってみたら良いスティックだったんで。
サインは今日、後ろに来ている、なまはげみたいなやつ!(笑)の藤掛がデザインしましした。」
青色には拘りあり。とのこと。

という感じでした。
ではでは!  by こばK様



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